恋するイケメン
「あの……」

「藤崎 亜由美さん!! 一年前から好きです。俺と付き合ってください !!」

俺はもう一度、亜由美に向かって告白した。
もし断られても…そんな事考えたくはないけど……何度でも告白する。

お辞儀をしたまま顔を挙げず返事を待つ。
亜由美は何も答えない…やっぱり駄目なのかと落ち込みかけた時…。


「泉堂君…。」
亜由美が大きく息を吸い込む音がした。

「泉堂君 !! すっ、好きです !! 私とお付き合いしてください !!」

周りの音が消えたように、亜由美の声だけが 鮮明に届く。
はっとして顔をあげて亜由美を見た。


亜由美が顔を真っ赤にして、ギュッと目を閉じている。
夢 !? 俺、都合のいい夢、見てる!?

ゆっくり亜由美に近く。
ギュッ、腕の中の亜由美は柔らかくて…。

「本当に…?今の…?」

腕の中で小さく頷く亜由美が、さっきの告白が夢じゃないと教えてくれる。

「くっ…よっしゃー!! 」

嬉しくて亜由美を抱き上げ一回りした。
その時、かぶってた帽子が飛んでしまった。

「せ、泉堂君 !! その頭…。」

「こんな坊主頭の俺は嫌か?」

小学生の時以来だ、こんなに短くしたのは…。
これはベタだけど…俺のケジメ。
隠してたのは、この姿で断られたら…と不安だった。

「ふふ…可愛い。」
亜由美は小さく笑って、俺の頭を優しく撫でた。

小さい子どもにするように…。
恥ずかしさで、かぁーっと顔が熱くなる。
見られたくなくて、片手で顔を隠した。

「泉堂君?」

「やっ、ちょっと待って…。」

顔を背ける俺を追いかけるように覗きこむ亜由美。








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