恋するイケメン
─────
───────
放課後。

急いで『桜華』に向かう。


『桜華』の校門に着くと亜由美が待っていた。


近づく俺に気づいた亜由美が俺を見て、微笑んだ。


──一瞬だったけど…確かに笑ってくれた。

「悪い、待たせたか?」


俺の問いに首を横に振った亜由美の隣に女が2人いた。


「友達?」


「やっと気づいた…。初めまして~木崎 杏奈で~す。」


肩にかかる茶髪を緩くウェーブさせた、派手な顔立ちの女が俺を覗くように見上げる。


「橋本 美月です。」その隣で苦笑するショートボブの女がペコッとお辞儀した。


「ごめんね、会いたいって言うから…。」

申し訳なさそうに謝る亜由美。


「泉堂和哉、よろしく。」


そっけなく挨拶をする。

一応、亜由美の友達みたいだし、無視はしない。

亜由美以外にどう思われようが、どうでもいいことだ。



「あゆちゃんの友達? 俺、こいつのダチ藤野 岳!よろしく~。」


突然、後ろから出て来て自己紹介する岳。

なんでお前らがいる…。

「俺、河原 啓志。よろしくね。」


ニコニコと笑顔で木崎 杏奈に無理矢理握手している。


「噂のイケメン3人とお近づきになれるなんて…。」


勝手に盛り上がる4人。


「亜由美、行こっか。」


亜由美の手をとって歩き出した。




< 94 / 156 >

この作品をシェア

pagetop