リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・14
出来がよすぎることに頭にきた時もあったけど、今はただ便利としか思えない。

…でも流石に、何時までもこういうことは続けていられない。

もう二十歳。

そろそろお互いに本当に一緒にいたい相手を見つけたり、自立したほうがいいだろう。

…まあコイツはとっくに自立しているけど。

あたしは立ち上がり、アイツの背後に立つ。

「ん? どうかしたか?」

食器を洗っている最中なので、顔だけこちらを向く。

あたしは黙ってその背中に抱き着いた。

「ん~…。ちょっと甘えたくなった」

「そうか。もう少しで洗い物が終わるから、待っててくれ」

「うん」

けれどあたしは離れない。

ぎゅうっとしがみついたまま。

アイツは拒まない。

今まで一度たって、あたしのことを拒んだり、邪険にしたことはない。

それが分かっているから、こうやって甘えられる。

恋愛対象ではないのに、こうやるのって卑怯かな?

そんなことをぼんやり思っている間に、洗い物は終了。
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