先生と執事【続・短編】
冨田家
「行ってくる。」
朝の6時30分、眠い目をこすりながら階段を降りると、落ち着いた低い声が耳に響いた。
小さい頃からずっと好きな、お父さんの声。
私はその声を聞いた瞬間足を止め、その場にしゃがみこんだ。
「行ってらっしゃい、気をつけてね先生。」
それと同時に、優しい声が響いてきた。
いつものようにお弁当を渡し、ネクタイをなおし、最後にゆっくりとキスをする。
毎朝変わらないこの光景。
恥ずかしい気もするけど、二人の仲がいいところをみると安心する。
あぁ、幸せそうだなぁってさ。
< 1 / 124 >