先生と執事【続・短編】
「…先生、ありがとう。」
「え?」
私からの言葉に驚いたのか、先生は夜空から私へと視線の先を変える。
すると、先生をジッと見つめていた私の視線と先生の視線がぶつかった。
「ははは、急にお礼なんてどうした?」
少し困ったような、でも嬉しそうな…この表情は照れているのかな?
「ふふっ。ずっとずっと前から私のこと見ていてくれたんだなって思ったら、急にお礼が言いたくなったの。」
「…………。」
「それとね…あの先生と過ごした2人での時間、実はどこか楽しみにしてたよ。」
「え?」
先生が何を考えて私に雑用を頼んでいたのかは今日まで知らなかったけど、先生と2人で話せたあの時間は、私の中でどこか特別だったのを覚えている。
昔から少し意地悪だった先生と笑いながら話せる、楽しい時間。
今思い返せば、きっとあの時間が私の心の支えだったんだと思う。