先生と執事【続・短編】
「先生の…温もりが欲しい…」
「え?」
トロンとした目に、少し涙がうかんでいる気がする。
頬にあてた手からは麻椿の身体の震えが伝わってきた。
「…どした?」
「うんん、何もないの…。だけど…」
ついに、一滴の涙が麻椿の目から流れおちていった。
枕にできた小さなシミは少しずつ大きくなっていく。
「寝よう、麻椿。きっと明日になったら気持ちも明るくなれるから。」
「せ…せ…っく…」
「朝まで抱きしめててやる。隣にいる。だから何も怖がる事なんてないだろ?」
「ん……。」
「ほら、目つぶって…」
二人で寝るには少し狭いベッド。
でも今はその狭さがかえって都合がいい。
麻椿の不安が少しでも減るように、俺は一晩中抱きしめながら眠った。