先生と執事【続・短編】
メールとは違うバイブの仕方。
…これは、電話?
一刻も早く助けを求めようと、ディスプレイを見る間もなく携帯を耳へとあてる。
すると、電話の向こうからは聞きなれた声が聞こえた。
「…お嬢様?あれ、繋がっていますか?」
「う…えだ…?」
聞きなれた声の主は、小さいころから高校生まで私のお世話をしてくれた執事の上田だった。
「えっ…お嬢様?どうかなされたんですか?」
先生の声もそうだけど、小さいころから聞いていた上田の声はすごく安心する。
風邪で弱っている今なんかは聞くだけで涙が出そうになる。
「た…すけて…上田…っっ」
「え?あの…」
「お願、い……赤ちゃんが…」
「お嬢様!!?大丈夫ですか??……お嬢様っ?!」
手から滑り落ちた携帯から上田の声が聞こえる。
必死に携帯を拾おうにも、すでに身体が動かない。
「うえだ……」
助けを求める事ができた安心感からか、私の意識は真っ暗なものへと変わっていった。