先生と執事【続・短編】
……初めてかもしれない。
教師として越えられないと思った人は。
責める訳でもなく、深く事情を聞き出す訳でもなく。
全てを読み取ったかのように受け入れてくれるなんて…。
俺にも、こんなに大きな包容力があるだろうか。
「後の事は私が引き継ぎます。また何かありましたら連絡して下さい。」
「はい、ありがとうございます。」
「では、もういいですよ。早退を認めます。」
「っっ失礼します!!」
会話の終りに深く頭を下げ、自分の席へと戻る。
大量の仕事と身の周りのものを鞄へと入れ、帰り支度をしていく。
「皆さん、集まっていただけますか。」
すると、教頭先生の声が耳へと入った。
きっと今から俺の事情を説明し、どう穴埋めをするのか話し合うのだろう。
少なくはないが決して多くはない教師の数。
一人抜けても大丈夫なのだろうか。
やっぱり多くのひとに迷惑を……
「冨田先生!!」