先生と執事【続・短編】
ガチャッ
「ただいまぁ…ってあれ?」
いつもより少し遅くに着いた家に入ると、真っ暗な部屋が目に入った。
普段は明るくて、リビングからお母さんが顔を出すはずなんだけど…。
見た感じ、どこの部屋も真っ暗で誰もいそうにない。
お母さん、どこかに行くって言ってたっけ?
あ、まさか会社に行ったんじゃ…。
靴を脱ぎ自分の部屋に戻る事なくリビングへと向かう。
すると、そこには真っ暗な中でピカピカと光るものがあった。
「…留守電?」
もしかしてお母さんからかな?
入口近くにあるスイッチで電気をつけ、電話がある所へと歩く。
そして、光っている赤いボタンを押した。
『――――……一件のメッセージがあります。』
機械音から始まる留守電に耳を傾ける。
『永愛、瞬輝、お帰り。』
「え…お父さん?」
持っている鞄を落としそうになるほどの驚きが身体を走る。
何でお父さんが留守電を…。
『今、病院にいる。お母さんも一緒だ。詳しくは上田のじいちゃんに話してあるから、二人が揃ったら電話しなさい。』
「びょう…いん……?」
落としそうだった鞄が、手を滑るように床へと落ちた。