先生と執事【続・短編】
大きな声に目を開けると、突然の息苦しさが私を襲う。
「っはぁ……はぁ…っっ」
薄く開いた目に、少し怖い顔をした先生がうつる。
「落ち着け、この中でゆっくり呼吸するんだ。」
「…っせ……せ……」
顔にふわりと被せられたスーツの中で、私の肩を掴む先生の呼吸と合わせるように、少しずつ呼吸の速度を落としていく。
先生の手、やっぱり大きいね。
私の肩なんて軽々と包み込んでしまうんだから。
「…大丈夫か?」
「うん…。」
あんなに苦しかった呼吸が、先生のおかげで嘘のように直ぐ落ち着いた。
被せていたスーツを取り私の姿を確認した先生は、ゆっくりと私の肩から手を離す。
怒っていた顔も、元に戻っていた。
「麻椿。」
「えっ、せんせ…?」
肩から手を離した先生は、椅子に座らずベッドへと座り、お腹を避けて斜めから覆いかぶさるように私を抱きしめた。