先生と執事【続・短編】
顔の横にある先生の髪から、ふわりとシャンプーの匂いがする。
家で使っているもので、私と同じ香り。
「…先生?」
私を抱きしめてから黙ったままの先生。
今まで状況が把握できてなかったけど、だんだんと解ってきた。
明るい電灯に白い天井。
ツンと香る薬品の匂い。
それと、右手につけられている点滴に、薄ピンクの服。
私、病院にいるんだ…。
だから、身体も楽になってるんだね。
点滴がついていない左手で先生の身体に触れると、抱きしめる力が少しだけ強まった。
「…ばかやろう。」
「へ?」
微かにだけど、先生の声が耳へと響いてきた。