先生と執事【続・短編】
先生の涙につられるように、頬に涙が伝っていく。
迷惑をかけないようにって考えてたけど、間違ってた。
甘えることも頼ることも大切で、必要なこと。
迷惑をかけない事より、ずっと傍にいる事の方が大切。
ずっと先生から言われてたのに、私はまたその事を忘れてしまっていたんだ…。
「もういい、謝るな。何もなかったんだから、それでいい。」
いつのまにか普通に戻っていた先生は、いつもの落ち着いた声だった。
「本当に危ない状態だったんだぞ…ばか麻椿。」
「…うん、ごめんなさい。」
少しだけ開いていた目を、ゆっくりと閉じる。
身体に感じる先生の全てが心地いい。
大きくて、あったかくて、シャンプーの匂いが更に私を大きく包みこんでくれる。
私の、安心の源。
少しして二人の気持ちが落ち着くと、先生は私から身体を離した。
…先生の顔、やっとまともに見れた気がする。
朝会ったはずなのに、不思議と久しぶりに会ったかのように感じる。