先生と執事【続・短編】
私と瞬輝が高学年へと上がり、自分の事は自分でできるようになった頃、お母さんは本格的に仕事へと復帰した。
その頃までは家で仕事をしていたけれど、復帰してからは会社に行ってバリバリと働いていた。
学校から帰って家にお母さんがいないのは寂しいけれど、楽しそうに働いているお母さんを見るのは大好きだった。
それに晩御飯は一緒に食べてくれたし、休日にはお父さんと一緒に沢山遊んでくれたから、私と瞬輝が辛い思いをすることもなかった。
ただ、半年前にお母さんが倒れるまではの話しなんだけど……。
休日に家族で海に行ったあの日のこと。
私と瞬輝とお父さんは海に入ってはしゃいでいて、お母さんはそんな私達を浜辺で見ていた。
「私はみんなを見ていたい」って言ったお母さんだけど、本当はこの時にはもう体調が悪かったのかもしれない。
でも、そんな事を知らなかった私達は、お母さんと遊びたい気持ちを隠す事をしなかった。