先生と執事【続・短編】
「ほら幸穂、お父さんに行ってらっしゃい言おうね。」
まだ話す事も立つ事もできない生まれたばかりの私達の妹。
必死に何かを言おうと、お母さんの腕の中で動いている。
その姿は見ていて飽きないし、何といっても可愛い。
「「「行ってらっしゃい。」」」
そして、バタンとドアが閉まる音と共に、お父さんは仕事場へと出かけていった。
その音を聞き終えてから私達二人は下へと階段を降りていく。
「おはよう、二人とも。」
「おはよう、お母さん。」
「…はよ。」
「よし、お父さんのお見送りも終わったし朝御飯にしよっか。永愛、幸穂の事お願いできる?」
「うん、任せて。」
お母さんからゆっくりと幸穂を受け取り、自分の腕の中へと包み込む。
最初は抱くのが怖すぎて緊張していたけど、何回も頼まれるうちにこの重さにも慣れる事ができた。
慣れると、赤ちゃんの身体は柔らかくて、暖かくて…幸穂を抱きしめると幸せな気持ちになってくる。
「おはよう、幸穂。」
赤ちゃんって凄いね。
この時々見せてくれる笑顔だけで、こんなにも周りの人を幸せにしてくれるんだから……。