先生と執事【続・短編】
ゆっくりと、先生の隣へ腰を下ろす。
さっきまで肌寒かったはずなのに、今はすごく暖かく感じる。
人の温度って、何でこんなにも暖かくて気持ちがいいんだろうね…。
「なぁ、麻椿。」
「ん?」
隣に座る私の方ではなく、先生は真っ直ぐ夜空を見つめている。
「初めて俺がお前の執事になるって解った日、こんな未来になるって想像できた?」
「………そうだなぁ…出来なかったかな。」
「ははは、そうだよな。俺も全く想像できなかったよ。」
「うん。」
先生が私の執事になったのは、私が高校生の時。
その頃は色々な責任やプレッシャーが重すぎて、自分の中で何かが壊れかけていた。
それでも必死に一人で何とかしようともがいている時、そんな時先生が私の執事になったのだ。
「でも、今だから言うけど……本当は執事になる前から少し気になってたよ。」
「え?」
「学校で、少しだけ特別扱いしてたんだ…麻椿のこと。」