先生と執事【続・短編】
初めて聞く話しに、頭の思考回路がついていかない。
先生が、私を特別扱いしてた?
「え、でも…そんな感じ全然しなかった…。」
「そりゃそうだろ、ばれないようにやってたんだから。」
「え、え、えぇ?いつ?いつ私のこと特別扱いしてたの?」
まるで、あの頃に戻ったかのような胸の高鳴りが私を支配する。
先生に片思いをしていた時のような、あの高鳴りが…。
「んー?いつってのは別にないんだ。ただ、お前は昔から強がる奴だったから常に気にかけてたし、限界まで抱えこんでそうだったら声かけたりしてたってだけだよ。」
そんな先生の優しさ、あの頃は全然気が付かなかった…。
「ほら、覚えてない?よく数学のノート運ばされたり、日直の仕事や雑用頼まれたの。」
「え、あ、あぁぁぁ!!!あれって特別扱いだったのっ?!」
「ははは、そうだよ。会長だからやれとか適当な理由つけて、俺と2人きりで話せるように仕向けてた。」
「先生、それは解りにくいよ…。私てっきり嫌がらせされてるか、遊ばれてるって思ってた。」
「まぁ、そう思われても不思議じゃないよな。」
そうだったんだ…あの嫌がらせをされていると思っていた時間は、先生なりの特別扱いの時間だったんだね。
確かに、今思えば先生は私以外の生徒には仕事を頼んでいなかった気がする。
あーあ、あの頃の私にこの事実を伝えてあげたい。
そうしたら、もっともっと二人きりの時間を楽しめただろうに…。