レンアイ授業

「ここへ一緒に来るってことは、もちろん美優の過去を知ってるのね?」

「はい。本人から聞きました。」

「そう。よっぽど信頼してるのね。」

そうなんだろうか?

園長先生は教えてくれた。

「---あの子がここへ初めて来たのは、3歳の時。

大雨の中、傘も持たず1人道端に座ってた。

まだ3歳の小さな子がたった1人で。

私たちが引き取って、あの子をここで育てた。

でもあの子は、感情表現を一切しなかった。

泣くことも笑うこともしない。

もう3歳なのに、話すこともしない。

私たちはとても心配したわ。

しばらくして、最低限は話せるようになった。

そのときはとても嬉しかったわ。

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