残酷な華
「初音、またどっかに行くの?ねえ、行かないで。心配だよ・・・個人行動は禁止って言われてるでしょ・・・」
奈々はいそいそと準備する私にそう言った。
「個人じゃないよ。安西君も一緒。・・・奈々。一人にしてごめんね。でも、この七不思議をどうにかして止めたいの。」
「・・・っ。そんなっ。無理だよ!無理に決まってる!今日にでも死ぬのかもわかんないんだよ!?もっと自分の体を大切にして----」
私は初めて奈々の言っていることをさえぎった。
「私はいいの!・・・私は生まれてから今まで一度も両親に愛されてこなかった。私なんて誰にも愛されないんだって思ってた。でもね・・・」
私はドレッサーの中の奈々の目を見る。
「奈々にあえて自分をはじめて必要としてくれた。伊藤君は命をなげうって私を助けてくれた。安西君は私を見守ってくれている。」
「・・・初音。」
「だから、そんな人たちが少しの間でもいたこの高校を守れるんだったっら私の命なんてどうなってもいいの。」
そして、奈々の頭をなでた。
「行ってくるね、奈々。」
もう、奈々は何も言わなかった。
ただ、じっと足元を見つめていた。