恋情エスケープ
恋情エスケープ1
「今日、新城の家に集合ね」
突然の誘いに、私はまたかと肩を落とした。
田舎だった地元を離れ、都会の大学へと進学して初めて友人になった有紗。
有沙の突拍子もない突然の提案に付き合わされることなんて、今では日常になりつつある今日この頃。
「また別れたの?」
「まぁね~」
この半年の間で、一体何度目となるのだろう。有紗はその社交性と明るさから交友関係も広く異性にもモテるけれど、すぐ付き合ってはすぐ別れてしまう。
つまりは飽き性ってこと。
そして、有紗が彼氏と別れるたびに周りの人間は集められ、朝まで有紗の愚痴に付き合わされるのだ。
まあ、みんなで集まって騒ぐ分には楽しいので断る気はないけど。
「吉田の家が良かったんだけど、なんか吉田が泣きついてきたからさー」
「そりゃそうだ」
「大学近くて最適だったのに~!」
ここ最近、有紗の愚痴会会場にされていた同じ学部の吉田ことあだ名ヨッシーが、ついに根をあげたらしい。
それもそのはずだ。朝まで騒ぎまくるこの愚痴会は、前日と比べられない程部屋は散らかるし、前回やったの愚痴会の時は隣の部屋から苦情がきてしまったのだと先日ヨッシーから聞いていた私は、こうなることを想定していた。
けれど、有沙の家は電車で1時間半もかかるし、私は女性専用マンションのため男性が入るのはいただけない。
次はどうするのだろうと考えていた矢先、白羽の矢が立ったのが新城だった。
「新城のことだから断ると思ってた」
「実は私も期待してなかった! ま、でも本人がいいって言ったんだし、今日は朝まで騒ぐぞ~!」