恋情エスケープ

 気が付くと、すでに有沙がヨッシーの横を確保していた。

 「ほらほら、由衣子も」と促され、私も新城のに隣に腰をおろした。


「っていうか、吉田も新城も食べ終わってるし」


 有沙の指摘につられ男二人のトレーの上を見てみれば、言葉通り何ものっていない。


「一応、3限目に講義入れてるから」

「もう後5分で始まるじゃん!」


 飄々と答える新城。

 さっきより確実に時間は進んでいる。有沙の腕時計によると、後数分で3限目の講義が始まる。


「いーのいーの。3限はサボるから~」

「昨日、サークルの先輩に捕まったんだよ。んで、夜通し飲んでたら淳は二日酔いでダウン」

「圭祐がおかしいんだよ! なんであんだけ飲んで二日酔いになんねーんだよ」

「俺、アルコール強いから」


 ヨッシーはテーブルに額をつけ、「くそ~」と唸り始める。

 余程二日酔いがたたっているのか、とても辛そうだ。


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