A'lice
彼に質問をしても、要領を得ないどころか、イラつかされるだけ。
遅ればせながら、それに気づく。
何から何まで、意味がわからない。
呆然と白うさぎを見るわたしを一瞥して、彼はゆっくりと歩き始めた。
「別について来なくてもいいですよ。ただ、困るのは貴女の方だと思いますけどね」
「どういうことよ」
「おやおや。貴女はもう少し聡明な方だと思いましたが……残念ですね」
もう、この口車には乗るまい。
でも、こいつが言ってる事も正しかった。
何も知らないこの場所で、心どころか身体の拠り所すら無い状況。
こいつの提案…というか、行動に乗らなければ、野垂れ死ぬのは目に見えてる。