リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『お笑い』・2
「うっうん…」

「まあ女装するのは良いけれど、中身まで女の子になられちゃ、流石にアタシの立場がないし」

とは言え、彼は家事全般が得意で趣味。

毎日、アタシにお弁当とオヤツの差し入れをしてくれるし、時には手作りの洋服やアクセサリーまでくれる。

女の子として叶わない部分が多いけれど、変わってほしくない部分もある。

「ボク、さ…」

不意に彼は立ち止まるので、手を繋いでいるアタシまで立ち止まった。

「小さい頃、あんな告白しちゃったでしょう? でもキミが言ってくれた言葉もあるから、こういう格好をするようになったんだ」

そう言って髪の毛の先を指でいじる。

可愛い仕草だなぁ。

「可愛くなれるように一生懸命努力してきたつもりだったのに……。やっぱりキミの可愛さには叶わないなぁ」

…でも言っていることは、イマイチ理解できない。

「可愛いってアタシのどこが?」

「全部だよ!」

彼には珍しく、声を荒げた。
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