リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『お笑い』・2
「え~? でもアタシなんて地味じゃない」

「違うよ! 可憐なんだよ」

その言葉は真正面から彼に打ち返したい。

けれどこれまた珍しく、本気でムキになっているので、黙っておこう。

いつもは可愛らしい仕草しか見ていないから、何か珍しい。

「派手に着飾ったりしない分、可愛さが滲み出ていると言うか…」

それはきっと…彼にしか感じないことだな。

だってアタシ自身、全く分からないことだから。

「だからキミの理想通りの人になりたかったのに…」

「アラ、アタシは充分、今のあなたがステキだと思っているわよ?」

「ほっホント?」

「うん」

男の娘でも、可愛い姿を見れるのは嬉しい。

ちゃんとアタシを大事にしてくれるし、文句なんて一つもない。

だからそう思っていることを証明したくって、彼の手を引いて、キスをする。

「んっ!?」

突然のことに、彼は眼を白黒させる。

いくら人気の少ない住宅地とは言え、全く人がいないワケじゃない。
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