リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『お笑い』・2
アタシはため息を一つし、荷物を持って立ち上がる。

まだ注文する前で良かった。

「じゃっ、お店の邪魔になっちゃうと悪いから、行きましょうか」

しゅん…と落ち込んでいる彼の手を、今度はアタシが繋いで店から出た。

とりあえず落ち着かせようと人気の少ない住宅地まで歩いて来た。

その間、彼はしょんぼりしたまま無口。

「…気にすることないわよ。ああいうタイプにはガッチリ言った方が良いんだから」

「うん…。でもあんなところで男の子っぽいとこを見せちゃうなんて…ボクもまだまだだなあ」

がっくりと肩を落とす彼だけど…。

「でもアタシは惚れ直しちゃった」

「えっ?」

「だってかっこよかったから。それにアタシを守ってくれたじゃない」

そう、女の子の格好をしてても、ちゃんとアタシを守ってくれる。

一緒にいて、楽しい気分にさせてくれる。

だからアタシは彼の告白を受け入れたのだ。

「確かにアタシはあなたに『お嫁さんになって』とは言ったけど、『女の子になって』とは言わなかったでしょ?」
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