愛しいひと
あたしと由梨、ついでに凛は、同じ小学校だった。
あたしと由梨は、中学受験を、一緒に受けたはずだったのだが。
『・・・おかしいなー』
「何が?」
『いや、こっちの話』
由梨の成績の良さは、よく知っている。中学受験に失敗したとは思えない。
「あー、そーいや、志歩は知らなかったな。」
『何を?』
「由梨が、中学受験をやめた理由。」
初耳だ。
ということは、やっぱり受けていなかったんだ。
『その理由って!?』
「・・・・あ、まぁ、・・・・好きな男が、この中学にいるからだってさ。」
凛は言いにくそうに、たどたどしく言葉にした。
そうか、そうだったのか。
って。
『納得できるかー!!』
あの由梨が、たかだか男の為に、自分の道を諦めたなんて、信じられん!!
「いや、これがまたイイ男なわけよ。」
『知らないよ!』
ニヤリと笑う凛。
凛が言うんだから、間違いは無いんだろうけど。
『あの由梨がねぇ・・・・』
恋なんて、くだらない。とか言ってたのに。いやはや、恋ってすごいね。改めて、そう思うよ。
「見に行く?」
『やめとこうよ。由梨がキレるじゃん。』
「ところがどっこい。」
ネタ、古くね?
「その男子は、フリーなんだなぁ、これが。」