ある日

ラニーニャは斧を持って、自分の左の手を、肘の所から切りとってしまいました

同じにみられたくない

と思いつめて、ラニーニャの心は壊れてしまったのです

同じにみられたくない

と思う願いは、いつしか

違っていれば良い

と言う願望に変わってしまっていたのでした

「大丈夫。これで誰も、アタシ達の事を『鏡』だなんて言わないことよ」

けれど、せっかく腕を切ったのに、ラニーニャの願いは天へは届きませんでした

つぎの日

庭で薪割りをしていたエルニーニョは、誤って自分の腕をラニーニャと寸分違わぬ肘の所から、切り落としてしまったのでした

だから、やはり今日も村人たちは、通り過ぎるときに言うのです

「あのふたりは、なんて綺麗でそっくりなんだ。まるで生きた『鏡』のようだ」

ラニーニャの心が
本当に狂ってしまったのは、それからでした

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