俺は彼女の目です。
「なぁ、一つ聞いていいか?」



「たぶんいい」



なんだよ…多分って。



「俺の記憶が間違ってなかったらだけど…お前って松下 優衣 (まつした ゆい)だよな?」



「そうだけど?」



間違いない。



あの、松下だ。




「なんで殴られた?お前なら目つぶってても避けれたはずだろ?」



「さすがに目つぶっててもは無理よ」



でも…



「わざと殴られただろ?あいつら、お前の後ろの壁狙ってたのにお前はわざと当たりに行った」



「…」



図星か。



そういうことだと思ったよ。




「何があった?」



「別になにも」



可愛くねー奴。


せっかく顔はいいんだからもっと愛想よくしろよ。



「お前がそんなことするにはなにか訳があるはずだ」


「…」



「そうだろ?」



今にも泣き出してしまいそうな松下は下をむいた。



「言ってみ?」




「笑わない?」



涙声でぽろりぽろりと話しだした。



やっと警戒がとけたかな。


俺は心の中で少し安堵の息をはいた。



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