俺は彼女の目です。
私の頭の中にはこーくんのこと。



もう二度と見れないかもしれないこーくんの顔。



こーくんが見せる私の大好きな笑顔。


こーくんがふいにこぼす私の大嫌いな悲しむ顔。




すべて…今まで見てきたものすべてがこれからはみれなくなってしまう。



…そんなのヤダ。


こーくんに伝えたい。


私は携帯を取出し、こーくんの番号を押した。


見えなくても携帯くらいは使える。


番号を打ち込み、発信ボタンを押そうとした。



……けど、押せなかった。


やっぱりこーくんに嫌われる恐怖のほうが大きくて。



だから発信ボタンが押せないんだ――――。



私は携帯をカバンに直し、病院までついてきてくれた施設の人に連れられて病院を出た。
< 39 / 48 >

この作品をシェア

pagetop