悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
一章

1.晃人の誘い




その日の夜。

22:30。


灯里はベッドに腰かけ、晃人からのメールをじっと見つめていた。


生まれた時から中学を卒業する頃まで、灯里は晃人にいろいろと面倒を見てもらった。

一方的に迷惑をかけるばかりで全然恩返しなどできていない。

晃人はそれでもいいと言ってくれたが……。


『昔も、今も、これからも。お前の一番傍にいるのは俺でありたい』


あの時の晃人の言葉が脳裏に蘇る。

考えてみれば晃人が灯里に対して何かを明確に望むのはこれが初めてのような気もする。

灯里はずっと晃人に恩返しがしたいと思っていた。

けれど。


『お前が、欲しい』


恩返しという気持ちで恋人になるというのは、それは明らかに違うだろう。

晃人もそれは望まないはずだ。

けれど晃人が灯里の喜ぶ顔を見たいと思うように、灯里も晃人の喜ぶ顔が見たい。


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