悪魔のようなアナタ ~with.Akito~




「お前から目を離すと何をするかわかったもんじゃない」

「うっ……」

「朝子の件もある。ここにいた方が安全だろう」


晃人の言葉に灯里は悄然と項垂れた。

どうやら前科持ちという扱いになってしまったらしい。

しかし『しばらくここに住む』って、親もよく承知したものだ。

そこまで信頼されている晃人もすごいが、承知する親も正直どうかと思う。

と息をついた灯里の唇に晃人が軽いキスを落とした。


「お前は何も心配するな。例の件は俺がどうにかする」

「晃くん……」

「言っておくが、二度と離れようなどと思うなよ? もしまた離れようとしたら今度こそ容赦しない」


晃人の言葉に灯里はぴしりと固まった。

どうやら今回は容赦してくれたらしい。

しかしもし容赦しない場合、自分は一体どうなるのか?

――――考えただけで恐ろしい。


どうやら自分はこれまで、晃人の一面しか知らなかったらしい。

あの苛烈な、容赦のない瞳を前にすると身が竦みそうになる。

けれど多分、これが晃人なのだろう。

ただ優しいだけではなく、厳しく鋭い一面を持った大人の男……。

そんな晃人にこれまでになく惹かれている自分がいる。




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