悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
四章
1.社内恋愛
翌週の月曜日。
灯里は洗面台の前でゴムを片手に髪を結っていた。
晃人のマンションは全体的に広めの造りで、洗面所も灯里の家の洗面所の倍ぐらいある。
化粧を終え、洗面所を出た灯里の前にワイシャツ姿の晃人が姿を現した。
慣れた様子でネクタイを締め、ばさっとスーツの上着を羽織る。
これまで見たことのないその姿に灯里の胸がドキッと高鳴る。
「……っ」
――――やはり、格好いい。
と思いながら慌ててバッグを取り上げた灯里に、晃人が視線を投げる。
「……灯里。後ろ」
「えっ?」
「髪がほつれてる。ちょっと待て」