悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
12時。
昼休み、自席で昼食をとっていた灯里の前に経理部の香川さんがやってきた。
香川さんは緑茶の缶を片手に灯里の向かいの席に座る。
その目に宿る楽しげな光に、灯里は内心で息を飲んだ。
「ねぇ吉倉さん」
「ハ、ハイ?」
「今朝、神園役員と出勤してきたわよね~?」
香川さんの言葉に、灯里はハハと乾いた笑いを返した。
そんな灯里を香川さんは興味深げな目で探るようにじーっと見つめる。
――――出勤前。
別々に出社した方がいいのでは?と言った灯里に、晃人はこう答えた。
『隠す方が逆にいろいろややこしくなる。お前を護る上でも最初からオープンにしてしまった方がいい』
『で、でも……』
『外野が何と言おうと気にするな。社則にもダメという記載はない。堂々としていろ』