悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
――――5分後。
話し終えた灯里を、香川さんはまじまじと見つめた。
「驚いた。まさか幼馴染だったなんてね~……」
「……」
「でも納得がいったわ。神園役員が吉倉さんを見る視線がちょっと他とは違うなーって思うときが何度かあったのよ」
「え、そうなんですか?」
驚く灯里に、香川さんはくすりと笑って言う。
「ホラ新年会の時。神園役員、たまに吉倉さんの方を見てたのよね~」
「……」
「何かしら? って思ってたんだけど。そういうことだったの……」
香川さんは灯里の顔を覗き込み、笑って言った。
その笑顔は貫禄のある大人の女性という感じで、色っぽくも頼もしい。
「頑張るのよ吉倉さん。神園役員は男の中の男よ」
「香川さん……」
「きっと吉倉さんを幸せにしてくれるわ。だからどんなことがあっても彼についていくこと。いいわね!?」
香川さんは身を乗り出し、強い声で言う。
灯里は予想もしなかったエールに胸が熱くなるのを感じた。
――――どんなことがあっても、晃人を信じてついていく。
灯里はそう心の中で誓い、こくりと頷いた……。