悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
2.バレンタインデー
週末の土曜。
灯里はキッチンでチョコを相手に格闘していた。
いろいろあったせいですっかり忘れていたが、明日はバレンタインデーだ。
晃人は忙しいらしく、今日は一日外出している。
「……」
晃人と住み始めて一週間。
最初は戸惑うこともあったが、もともと互いのことを良く知っているせいか二人の生活にもすぐに慣れた。
感覚的には昔、隣に住んでいた頃の延長のような感じだ。
――――夜の過ごし方を除いて。
「……っ」
灯里はぶんぶんと首を振り、慌ててチョコに向き直った。
やはり晃人に比べると自分はまだまだ子供だ。
晃人の腕に抱きこまれると、何も考えることができなくなってしまう……。
夢うつつの中与えられる快楽に溺れ、そして……。
気が付くと晃人の腕の中で朝を迎えている。