悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
夕食後。
灯里は晃人とともにリビングでチェスに興じていた。
晃人はチェスが得意で、灯里も昔、晃人にやり方を教えてもらった。
しかしまだ一度も勝てたことはない。
「10年ぶりだね?」
「そうだな」
駒は灯里が白で、晃人が黒。
特に理由はないがこれも昔から決まっている。
対面に座り、駒を並べたところで晃人が灯里を見た。
「しかし、ただ戦うだけではな……。何か賭けるか?」
「えっ?」
灯里は首を傾げた。
晃人は楽しげな目で灯里を見つめている。
その瞳にドキリとしつつ、灯里は続けた。
「でもあたし、晃くんに勝ったことないし……」
「やってみなければわからないだろう? 何か賭けた方がやる気も出るかもしれない」