悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
――――その日の夜。
灯里は晃人の腕の中でぼんやりとまどろんでいた。
あれから。
三回戦行ったが、灯里はストレート負けしてしまった。
本気になった晃人は容赦なかった。
『容赦ないね、晃くん……』
『仕方ないだろう。賭けられたモノがモノだ、絶対に負けるわけにはいかない』
『……』
晃人は大人だが、たまに大人げない一面を見せることもある。
……というのを灯里は初めて知った。
余裕の表情で微笑む晃人に、灯里はチョコの入った小箱を差し出した。
『はい、これ。バレンタインのチョコレート』
『手作りか?』
『一応ね。味に自信はないけど……』
晃人は箱を受け取り、微笑んだ。
嬉しそうなその笑顔を見ると灯里の心もじわっと温かくなる。