悪魔のようなアナタ ~with.Akito~



――――その日の夜。


灯里は晃人の腕の中でぼんやりとまどろんでいた。


あれから。

三回戦行ったが、灯里はストレート負けしてしまった。

本気になった晃人は容赦なかった。


『容赦ないね、晃くん……』

『仕方ないだろう。賭けられたモノがモノだ、絶対に負けるわけにはいかない』

『……』


晃人は大人だが、たまに大人げない一面を見せることもある。

……というのを灯里は初めて知った。

余裕の表情で微笑む晃人に、灯里はチョコの入った小箱を差し出した。


『はい、これ。バレンタインのチョコレート』

『手作りか?』

『一応ね。味に自信はないけど……』


晃人は箱を受け取り、微笑んだ。

嬉しそうなその笑顔を見ると灯里の心もじわっと温かくなる。


< 122 / 171 >

この作品をシェア

pagetop