悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
そう思うのは、晃人に釣り合う身分を持つ朝子に対する嫉妬もあるのかもしれない。
無言で睨み据える灯里に朝子はうっすら嗤って続ける。
「あなた今、晃人と一緒に住んでいるんですって?」
「……」
「あの黒皮のソファーは、まだあるのかしら?」
朝子の言葉に灯里は息を飲んだ。
朝子が言ったことが頭に入ってこない。
硬直した灯里に朝子は続ける。
「キッチンの食器棚、あるでしょ? あれはね、ゆくゆくはペアカップを並べようと思って大きめのものを買ったのよ」
「……っ」
「寝室にあるベッドはフランス製で、ハードコイルを使っているのよ。寝心地いいでしょ? 晃人と二人で寝ても、体が沈みこまないから腰が痛くならないのよね」
朝子は灯里を見つめながら楽しげに言う。
灯里は真っ青な顔でその場に立ち尽くしていた。
――――聞きたくない。
凍りついた灯里に、朝子は決定的な言葉を放つ。