悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
4.離れられない
<side.晃人>
――――21時。
会社からの帰り道、駅へと続く道を歩いていた晃人は携帯の振動に足を止めた。
スーツの胸ポケットから携帯を取り出し、広げる。
待ち受けを見ると、灯里のようだ。
晃人は手早くボタンを押し、灯里からのメールを確認した。
その瞬間、切れ長の瞳が大きく見開かれる。
「――――出張?」
灯里からのメールには急な出張が入った、今日は外泊するとある。
晃人はくっと眉根を寄せた。
その瞳に昏い光がよぎる。
……明らかに、おかしい。
今朝、灯里は出張などということは一言も言っていなかった。
そもそも事務職の灯里が出張に行くなど年に一度あるかないかだ。