悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
晃人は商事部に電話の電話番号を表示し、コールした。
晃人が出る時、まだ商事部には明りがついていた。
恐らく誰か残っているだろう。
「お疲れ様です。神園です」
『……え、神園役員!? おっ、お疲れ様です!』
「電機設備課の吉倉さんですが、出張と聞きましたが、どこへ?」
『……吉倉が出張? ……いえ、特にボードには何も出ていませんが……』
「そうですか。わかりました」
晃人は言い、ピッと携帯を切った。
――――やはり、嘘だった。
灯里がなぜ出張だなどと言って外泊しようとしているのか……。
恐らく何かあったのだろう。
灯里の思考回路はわかりやすい。
何もなくこんな行動を取るということは、ない。
にしても……。
「……ツメが甘いぞ、灯里」
晃人は呟き、唇の端で笑った。
その瞳は鋭利な刃物のように鋭い。
――――どんな理由があろうと、今更離れるなど許せない。