悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
五章
1.新しい生活
―――― 一週間後の日曜。
午後の緩やかな日差しが部屋に差し込む中……。
灯里はリビングを見渡し、ほっと一息ついた。
その手には掃除用のモップがある。
あれから二人は新しいマンションを探し、昨日、引越しを終えた。
新しいマンションは二人の実家からさほど遠くないところにあり、7階建てでスーパーなどの生活施設も周囲に一通り揃っている。
家具や雑貨も引越しに合わせ、全て新調した。
さすがに消耗品まではいいよと灯里は言ったが、晃人は頑として譲らなかった。
ウォールナットやマホガニーなど、シックな木を基調とした部屋は昔の晃人の部屋を思わせる。
この間のスタイリッシュな部屋よりこちらの方が数倍落ち着く感じがする。
「……晃くん……」
灯里は晃人の顔を脳裏に思い浮かべた。
この部屋全体に、晃人の自分に対する真摯な愛情が溢れている。