悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
2.悪魔の楔
<side.晃人>
その日の夜。
23:00。
晃人は書斎でとある資料に目を走らせていた。
忍村の経理部長に頼み、法務局から取り寄せてもらった書類だ。
経理部長は晃人の友人で、今もたまに飲みに行く仲だ。
「30%、か……」
書類に載っているのは九条グループ本社の株主の一覧だ。
晃人は鋭い目で一覧を眺めた。
株の内訳は朝子の父が30%、朝子の叔父が20%、そして残りの50%は浮動株となっている。
「なるほど、な」
晃人の目が昏く光る。
晃人は机の隅に置いてあったファイルを手に取り、ぱらぱらとめくった。
あるページで手を止め、ペンで印をつける。
「まずは貸借と損益か……」