悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
今回の件は朝子のことに気付かなかった晃人にも落ち度がある。
しかし朝子の口からあの事実を聞かされた灯里の衝撃は生半可なものではなかったはずだ。
そんなことを平気でできる人間と結婚しようとしていたのかと思うと過去の自分を呪いたくなる。
晃人は冷たい瞳でじっとファイルを見つめ、口元に笑みを刻んだ。
朝子が灯里に対してしたことは許し難いし、あんなことが平気でできる女だとは思ってもみなかった。
が、何の躊躇もなくこんなことをしようとしている自分も同類なのかもしれない。
晃人は目を光らせ、うっすらと笑った。
例え鬼と言われようが悪魔と言われようが……。
――――灯里を守るためなら、相手が誰であろうと容赦はしない……。
ここで断ち切っておかねば禍根が残る。
晃人は決心し、ひとつ息をついてゆっくりと立ち上がった……。
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