悪魔のようなアナタ ~with.Akito~




月曜日。

灯里は香川さんに誘われてランチに行った。

店は会社から歩いて5分ほどの和食料理屋で、平日は600円で魚定食などのランチメニューを提供している。


「ここ、初めてくる店なの~。吉倉さんは来たことある?」

「あたしも初めてです!」


灯里は目を輝かせ、向かいに座った香川さんを見た。

久しぶりの外でのランチにいつになく心が浮き立つ。

笑顔で言った灯里に、香川さんはにこりと微笑んだ。


「吉倉さん、なんか雰囲気変わったわね?」

「え、そうですか?」

「やっぱイイ男に愛されると女は変わるものね~」


香川さんは灯里の顔を覗き込み、笑いながら言う。

――――何も言えない。

真っ赤になって俯いた灯里を、香川さんはまじまじと観察するように見る。


「あら、照れることないのに」

「……か、香川さん……」

「かわいいわね~、吉倉さん。神園役員の気持ちがちょっと分かるような気がしたわ」


< 147 / 171 >

この作品をシェア

pagetop