悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
月曜日。
灯里は香川さんに誘われてランチに行った。
店は会社から歩いて5分ほどの和食料理屋で、平日は600円で魚定食などのランチメニューを提供している。
「ここ、初めてくる店なの~。吉倉さんは来たことある?」
「あたしも初めてです!」
灯里は目を輝かせ、向かいに座った香川さんを見た。
久しぶりの外でのランチにいつになく心が浮き立つ。
笑顔で言った灯里に、香川さんはにこりと微笑んだ。
「吉倉さん、なんか雰囲気変わったわね?」
「え、そうですか?」
「やっぱイイ男に愛されると女は変わるものね~」
香川さんは灯里の顔を覗き込み、笑いながら言う。
――――何も言えない。
真っ赤になって俯いた灯里を、香川さんはまじまじと観察するように見る。
「あら、照れることないのに」
「……か、香川さん……」
「かわいいわね~、吉倉さん。神園役員の気持ちがちょっと分かるような気がしたわ」