悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
晃人は言い、手にしていた資料をテーブル越しに差し出した。
横山は晃人に渡された資料に目を通していたが、やがてその目がゆっくりと見開かれていく。
「晃人くん、これは……」
「九条グループについて私なりに少し調べてみました。さすがに結婚相手のことを何も知らずに結婚するのは、私も不安ですので」
晃人は言い、テーブルの上で指を組んだ。
横山は晃人の視線の前でじっと資料に目を通している。
「これは多分、税務調査が入るな。そうしたら……」
「ええ。これが明るみに出れば九条の株は暴落するでしょう」
晃人は言い、横山を正面から見据えた。
意志の強そうな鋭い光を浮かべた瞳でじっと横山を見る。
「横山取締役、この件を今度の忍村の取締役会で議題に上げていただけませんか?」
晃人の言葉に横山はしばし考えた後、ゆっくりと頷いた。