悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
翌日。
15:00。
晃人は街角の喫茶店で、ある人物と待ち合わせをしていた。
と、入口の扉が開いて一人の男が店内に入ってくる。
少し遅れてやってきたその人物は、冬だというのに額から汗を垂らしている。
九条義彦。54歳。
朝子の叔父にあたる人物だ。
「ひ、久しぶりだね、晃人くん」
「お久しぶりです」
晃人は向かいに座った男をじっと見つめた。
丸々と太った体を揺らし、後退した生え際に浮かんだ汗を拭きながら晃人の向かいに座るこの男は、一言でいえば小心者だ。
晃人はうっすらと笑い、足を組んだ。
「お呼び立てして申し訳ありません」
「い、いやいや、君から連絡があるとはね、驚いたよ」
「さっそく本題なのですが。こちらの資料をご覧頂いてもよろしいでしょうか?」
晃人は言い、持ってきた鞄の中からとある資料を取り出し、手渡した。
九条義彦は汗をふきふき資料を眺めていたが、その顔がしだいに強張ってくる。