悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
「あ、晃人くん、これは……」
「こちらで独自に調べた資料です。同じものが忍村の取締役会でも回っています」
「なっ、なっ、なんだって!?」
九条義彦は目を零れんばかりに見開き、仰け反った。
晃人は内心で嗤いながら、畳み掛けるように言う。
「これはあくまで私の予想ですが。これまで忍村と九条はパートナーとして手を組んできました。しかしこれが明るみに出れば……」
「……出れば?」
「忍村は九条との協力関係を切るでしょう。いや、恐らくそれだけに止まらず……」
「……」
「株価暴落に乗じて、買収を仕掛けると思われます。事業内容がかなり重なっていますからね」
晃人の言葉に九条義彦は色を失った。
晃人はうっすらと笑い、続ける。
「残念ながら、今の私には忍村での発言権はありません。しかし父に働きかけることはできます」
「そ、それは、どういう……」
「あなたがお持ちの九条の株を手放していただけるのなら、買収後もあなたがそれなりの役職に就けるよう掛け合ってみましょう」