悪魔のようなアナタ ~with.Akito~



その日の夜。


灯里は晃人と共にキッチンに立ち、夕食を作っていた。

今日の夕食はポークピカタとサラダ、そして野菜のスープだ。

二人でキッチンに立つ時には昔から晃人が包丁担当、灯里が調理担当と決まっている。

それは晃人の方が7歳年上だったせいもあるが、今は単純に向き不向きで役割分担をしている。


30分後。

出来上がった夕飯をテーブルに並べ、二人は向かい合って座った。

いただきますと手を合わせた後、スープのカップを取り上げる。

料理に一通り手を付けた後、灯里は気になっていたことを聞いてみた。


「ねぇ、晃くん。……あれから、あの人とはどうなったの?」

「あの人?」

「九条朝子さん」


と灯里が言うと。

晃人は怪訝そうに眉を上げた後、その目を緩めて灯里を見た。


「彼女とは弁護士を通して話をつけることにしてある。お前は何も気にするな」

「でも、あの人は九条グループの……」


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