悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
灯里は言いかけ、俯いた。
朝子は九条グループの社長の娘で、本物のお嬢様だ。
――――自分とは違って。
と俯いた灯里の顎に晃人の指が伸びる。
くいと顔をあげられ、灯里は息を飲んだ。
見ると、晃人が穏やかな笑顔で灯里を見つめている。
「……っ、晃くん」
「気にするなと言っただろう?」
晃人は灯里の心を包み込むかのように笑いかける。
灯里はぼうっと晃人を見つめた。
晃人の瞳を見ているとこの世に怖いものなど何もないと思える。
「九条など俺の力でどうにでもなる。お前は何も心配するな」
力強い晃人の声が灯里の心を鎮めていく。
この声を聴いているだけで不安が消えていくような気がする。
灯里はこくりと頷き、再び箸を動かし始めた。