悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
朝子とは一度は婚約までした仲だ。
非情だと自分でも思う。
だが灯里がされたことを思えば、手段など選んではいられなかった。
晃人は新聞を畳み、ばさっと机の上に置いた。
と、その時。
晃人の携帯に着信が入った。
通話ボタンを押して携帯を耳に当てた晃人の耳に聞き覚えのある声が響く。
「もしもし」
『晃人か』
父の重人だ。
久しぶりの重人の声に晃人は耳を傾けた。
父から電話が来るのは珍しい。
『新聞は見たか、晃人?』
「ああ」
『お前の望んだ通りになったな。……今回の件はお前の差し金だろう?』
どうやら晃人の目論見は父にはばれていたらしい。
晃人はくすりと笑い、言った。