悪魔のようなアナタ ~with.Akito~




――――幼い頃。

興味の赴くまま会場内をふらふらと歩きまわる灯里を、晃人は慌てた様子で追いかけていた。

あの頃とはもう違うが、やはり晃人が過保護なのは変わらない。

灯里は晃人の腕に自分の腕を絡め、桜を見上げた。


「……再会してから、もう一年経つんだね?」


あの会議室での突然の再会から、もう一年になる。

あれからいろいろなことがあったが、今思うとやはりあれは運命だったのかもしれないと思う。

あの再会がなければ、今こうして二人で一緒にいることもなかっただろう。


と思い耽りながら歩いていた灯里の肩を、晃人がぐっと抱き寄せる。


「おい、あまり端を歩くと落ちるぞ」


足元は木道になっており、両端は昨日雨が降ったせいかぬかるみになっている。

思わず頬を染めた灯里の顔を、晃人は優しい視線で覗き込む。



< 163 / 171 >

この作品をシェア

pagetop